6.すべて目的あってしていること
 以上、プラムはスーツ作りに随分手をかけていますが、いずれもすべて良い服を得るにはどうしてもそうする必要があるのでそうしているのです。シャープなエッジ、クリーンな襟元、衿廻りは着ている人を爽やかに見せます。意味のない装飾的技巧に凝ることはスーツ作りの邪道でプラムの採らないところです。スーツは、人が着て初めてスーツになるので、ハンガーに掛かっている状態では、ただの「もの」です。ここのところがポイントです。
  スーツは一つのシステムズ・ダイナミックスです。部分を変えようとするとシステム全体が反逆します。丁度空気の入った浮き袋を平らに押さえようと試みるように、ここを押さえればあっちがふくらみ、あっちを押さえれば第3の部位がふくらむように。部分を改良して良い服を作ることは出来ません。
  スーツつくりのプロセスは、設計から縫上り、最終仕上げまでが一つの輪のようなシステムです。どの一ヶ所に凹みが出来ても(不完全な作業がされると)、服全体がこわれます。